広島とヒロシマ

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国」が手に入ったので読んでみた。
どうにもコメントしにくいのだが、なんとかコメントを。*1


広島を舞台として原爆から生き残った家族を追った作品。
原爆から生き残ったがゆえに、「生き残ってしまった自分」の存在に葛藤する人。
また生き残った人(の原爆症)に対する偏見、あるいは差別。
そんな「原爆投下後の人々」に焦点をあて、ストーリーは淡々と進む。
原爆を扱った作品にありがち(?)な、残酷な描写や凄惨な描写はほとんどなく、大げさな脚色や誇張もない。
それゆえに作品に込められた「人々の思い」が心に響く。
かなり抽象的だが、自分にはそんな風に感じられた。


確かに良い作品だと思う。しかし、万人に勧められる漫画ではない。
コマとコマの間(小説等で言うところの「行間」)や絵に込められた「心理描写」というものをきちんと読める方ならば十分に読みこなせるだろうが、そうでない人はこの作品に込められたメッセージは半分も伝わらないのではないだろうか。
ただ、普段から『漫画は害悪以外の何物でもない』とか『漫画は小説より下等なものだ』とか思っている方には是非読んでもらいたい。「漫画」に対する偏見がなくなる、とまでは言わなくても、多少は考えが改まるかも。

*1:昔っから「読書感想文」なるものがどうにも苦手なので…(^^;